よこはま児童文化研究所 研究部門

哲学・科学研究会


 
 哲学・科学研究会は、発足当時、西洋の「認識論」を中心に研究していました。参加者の認識様式が獲得され、現在は、「ラーニングボックス学習」内でのさまざまな学習現象を科学的・哲学的に解明することに力点が移りました。学習現象を記述する術語は、実体を指示する言語、指示する実体のない機能を示す言語、関係を指示する言語などに定めています。
 脳—心—身体の三者を納得のいくやり方で関係づけなくてはなりません。この関係性の曖昧さがさまざまな考え方を生み出しています。考える人はそれぞれにこの三者関係を考えていることでしょうが、研究所は現在の時点で納得のいく関係性を把握しています。
 また、研究者の自己確立の次元と程度により学習現象がいかようにも記述されることを思えば、研究用の哲学が必須であります。物理的に同じような実体に対して研究者の数だけの記述が可能です。ここに研究の発展と堕落の震源があります。哲学「・」科学とした大きな理由がそれであります。
 現在のテーマはラーニングボックス学習時における学習者(こども)と協同学習者(指導者)との関係をどれくらい平らにできるかです。両者の関係性を詰められるだけ詰めて出てくる関係の性質に従おうとするものです。
                                                           哲学・科学研究会 部長 岩井康江


ゼミナールコンサート

 ゼミナール・コンサートは「微細なこどものこころの動きに気がつきたい」願いから始まりました。会はわたしのピアノ演奏で始まります。その後、音楽ヴィデオを視聴しています。
 採り上げられるテーマや材料に変化があっても、願いに変化はありません。最近は、オペラを採り上げて、ワーグナーの「パルジファル」、ドヴィッシーの「聖セバスチャンの殉教」、メシアンの「アッシジの聖フランチェコ」を中心にして視聴しています。
 日常の生活で汚れるこころを常に清潔にするために、穢れを削ぎ落としたこれらの3曲を聴き続けることが、こどもの「微細な動き」をキャッチできるという願いが込められています。
 でも、時にはモーツアルト、バッハ、シューマン、ショパン、ブラームス、ベートーヴェン、マーラーなども聴きます。
 山手のイギリス館でのゼミナール・コンサートに皆様もぜひおいでください。お待ちしています。

ゼミナール・コンサート 部長 原 ふみ

学会活動

 「日本特殊教育学会」、「日本保育学会」などで発表しています。テーマは「ラーニングボックス研究会」で採りあげられます。最近の4,5年は「認知発生」、「認知発達」、「認知変換」を研究テーマとしてきました。すべて「ラーニングボックス学習法」内での学習現象に科学言語を使って記述しています。2004年に春風社から出版された『知的障害児のためのラーニングボックス学習法』で示した考え方を軸に研究してきました。しかし現在では更に理論と実践が進み、別冊を出版しなければならなくなってきています。特に認知と情動を関連づけてさらに役に立つ理論を構築する段階に達しています。

学会担当 松阪啓子