North Mountain Seminar(N・M・S)





 このセミナーの第1回は北国の岩手県雫石休暇村で2003年8月9日(土)から10日(日)に開催された。それでNorth Mountain Seminar(N・M・S)の名称になった。目的は「ラーニングボックス学習法」を育て上げ、子ども達の役に立つようにすることです。


これまでのセミナーのテーマと開催地



 見ていただくとわかるように「ラーニングボックス学習法」を中心に据えて、他領域との接点をはかってきました。
 この学習法は実践からの要請で誕生しました。春風社から2004年3月に発刊した『知的障害児のためのラーニングボックス学習法』の「はじめに」に書いたように、子ども達にもうすこしましな学習内容を提供できないだろうか、という反省を込めた発想が基本にありました。何年たっても①シール貼り、②ビーズ通し、③パズルなどでお茶を濁すような指導からの飛躍をねらったものでした。
 さいわいに、『知的障害児のためのラーニングボックス学習法』で提示した内容がその後の脳科学、認知心理学、情報処理心理学、神経心理学、神経生理学、認知科学、比較認知心理学、 比較認知科学とうまく連結することができたのです。
 現在も、「ラーニングボックス学習法」は発達、発展、進化し続けています。「ラーニングボックス学習指導部」での実践と「ラーニングボックス研究会」における理論的な研究とがうまく噛み合って進化しています。
 よこはま児童文化研究所はこれまで、他領域の知識と「ラーニングボックス学習法」とを絡ませて、認知発生、認知発達、認知変換を研究してきました。この研究が実践からの要請に応えられるところまで辿り着きました。
 そこで、第7回目のNorth Mountain Seminar(NMS)のテーマは「情動と認知の絡み」になるかもしれません。
 もしも、皆様で関心のあるかたは、是非、参加してみてください。詳しい連絡はよこはま児童文化研究所のホームページを、随時、見て下さい。








公開講座



 公開講座は毎日の実践を積み上げ更に理にかなった指導を願う全国のお母さんや実践者と実践知を分かち合うために開催されてきました。
 実践知の中身は、子どもがよき「学習者」になり、実践者がよき「協同学習者」になるその道筋を明らかにした「知」のことです。
講座はよこはま児童文化研究所のスタッフの一年間の実践の報告がもとになって行われます。
 船が航海すると船側に貝殻などがへばりつきます。その貝殻が今後の課題を内包しています。この世界の全ての現象に偶然はありません。すべてそうなるべく道筋があって現象したのです。科学の「知」の及ばない現象を切り捨てることは「知」全体の構造を切り捨てることになります。私たち人間の「直感」で科学知の限界を乗り越えなければなりません。
 まして専門家がこしらえた「知」だけに依存して大切なこどもを指導することは避けなければなりません。「知」一般を、実践を通して、自分の「知」へと高めなければなりません。「知」一般を使えるようにする過程がこどもの学習へんと還元できます。
 視点は、「ともどもに」にあり、こどもを対象化することなく、学習者と同席する協同学習者として学習現象を見つめる中からの実践報告となっています。
 そもそもよこはま児童文化研究所では指導や指導者という用語を使いません。こどもたち「学習者」と同席し同じ学習課題に向かうという意味で「協同学習者」という用語を使います。
 協同学習者という用語になじめなくて指導者になってしまう実践者がありました。「天城子どもと親とのワークショップ」や「トントン広場」で子ども達と滞在する時間が増えるにつれて「ともどもに」の精神が身について「協同学習者」を誕生させた実践者がたくさんいます。
 こどもの真の姿を見ることなく、指導者の見たいように見た子ども像に指導する実践者がたくさんいます。また、よこはま児童文化研究所は、そのこどもが育ってきた道筋の必然性を無視して、「お母さん、おこさんに汚い言葉をしゃべらさせておいて平気なんですか」と窘めるような言い方を嫌います。一言も話さない、話せない年月の中から、初めて話した言葉が「ばかやろー」だったのです。協同学習者は初めて話した「ばかやろー」を大切にして、コミュニケーション用の言葉をたくさん学んでもらいたいのです。子どもの両親は、教員、指導員に、こどもの育ってきた道筋にもっと思いを寄せて欲しいのです。
 公開講座はこのような初歩的だが重要なトピックを選びながら行われています。
 「講座」という命名には誰でも参加できる気軽なというメッセージを込められています。どうぞ、おいで下さい。そしてこどもたちへよりよい学習環境を示せる道筋をいっしょに考えて下さい。
 公開講座は毎年8月に開かれます。詳しいことはよこはま児童文化研究所のホームページを、随時、ご覧下さい。

公開講座担当 松阪啓子